Lisa Bentleyが苦しいときに自分を見つめることについて語る

アイアンマンレースを観て、あの距離にチャレンジしようと思い立つ若いアスリートにたくさん出会ってきました。そして、たまにアイアンマンに燃えるアスリートが先を急ぐあまり、こんな質問をしてきます。「3ヵ月あれば準備は大丈夫ですか?」。私はこう答えます。「大丈夫です。でも、たどり着くまでに見落とすものはいろいろあるでしょう。アイアンマンはゴール達成に向けて努力する日々の方が、レース当日よりも喜びに満ちているもんです」。まさに今、私たちはその途中にいます。思いもよらない展開や方向転換、やり直しがたくさんありました。誰もそんなことは望んではいませんでした。でも、誰もが立ち直り、適応力、問題解決の能力を発揮し、これからもその力を出し続けることで、レースやペースの速いラン、バイクのタイムトライアル、スイムセットに大きな効果があるはずです。 

オリンピックの競技やアイアンマンレース、NBAチャンピオンシップに向けてトレーニングするのにレースは必要ありません。ただ自分のスポーツをすればいいだけです。自分を磨いて伸ばすためです。鍛錬を積んで心を落ち着けましょう。今日、そして今後数週間でこうしたスキルを磨くことで、たとえゴールに届かなくてもあなたはチャンピオンになれます。次にレースに参加して、苦しむ場面を想像してみてください。今の危機をバネにすれば、10Kのランや90Kのライド、マラソンのゴール前の1時間で足を引きずりながら進むことぐらい何でもないはずです。家で子供に勉強を教えたり、車から降りずに年老いた両親にさよならしたり、病気の家族の側に行けない方がずっとつらいです。今の頑張りをレース当日に強力な武器にできる日がきっときます。Peter Diamondisの言葉を借りると、「問題を無駄にするほどもったいないことはない」です。 

まず、自分に何ができるか考えましょう!怪我と同じように、痛みに合わせて調整するんです。パンデミックの場合は公衆衛生に合わせる必要があります。最初の頃はみんな家にこもっていました。室内でエクササイズをするトライアスリートやバルコニーでマラソンをする人、陸上で練習に励むスイマーなどがたくさん登場しました。こういう「ニューノーマル」はどれも成功しました。行き詰った状況で新たな道を模索する方法を実践したわけです。毎日、達成できる些細な目標を何かしら決めましょう。それは、毎日やり続けることでもいいし、時間を割いて筋トレやライドの回数や距離を上げたり、子供と一緒にライドやランに挑戦するのもいいでしょう。レースでゴールして勝利を決めるのが理想ではありますが、セッションを終えたという見返り、ベストを尽くし自分のスキルと体のコンディションが正しい方向に向かっているという内面的な満足感はあります。私はよく内面的な目標について話をします。ライドのときに適切なギアを見出す、というようなプロセスに基づいた目標のことです。押し気味に坂を上がる、ランのリズムを身に付けて親指に体重をかけながら足全体で走る。水泳のキャッチとフィニッシュ、ローリングをもっと強化する、というのがそれです。外面的な目標は、「40kmのライドで60分を切る」といった宣言です。アイアンマンレースで12時間を切ってみせる、ボストンマラソンのエントリー資格を手に入れる、など成果が基準になっています。そして、他の参加者やコンディションは誰にも変えられないため、成果もまた私たちの思うようにはなりません。内面的な目標ではプロセスが大事で、過程の占めるウェイトが大きくなります。そして現在、私たちは内面的な目標を達成しようとしているのです。レースが再開されたとき、内面的な目標が外面的な目標の達成につながります。今のところは現在に目を向けて、与えられた環境でベストを尽くしましょう。 

 

私たちにできること

トレーニングはクリエイティブに。以下にヒントを紹介します。

  • 60分のランではなく、次のようにしましょう。有酸素運動を(忘れられることの多い)筋トレと組み合わせます。新しい刺激を作り出すことで、体が適応して鍛えられ、強くなります。

    • 15分のランでウォーミングアップ

    • 終わったら次の筋トレ・サーキットをします

      • エアスクワット x 30回

      • 腕立て伏せ x 15回

      • バーピー x 10回

      • 腕立て伏せ x 15回

      • ジャンピングスクワット x 20回

      • 腕立て伏せ x 15回

      • ランジ x 10回(片足につき)

    • ラン15分

    • 筋トレ・サーキットを繰り返す

    • ラン15分

    • 筋トレ・サーキットを繰り返す

    • あと1回15分のランで終了

  • 上記の内容に有酸素運動を組み込んでもかまいません。私はローイングマシンを使って次のようにします。

    • まず2000m

    • 続いてケトルベルのスイングを40回、オーバーヘッドプレスありでダンベルスクワットを12回、レネゲードロウ12回

    • ローイングマシンに戻って4回

    • これをすることで、より長くローイングできるようになり、忘れていた主な筋トレもこなせています。おかげでバイクでもパワーアップしました。 

  • 好きなエクササイズを組み合わせた「エピック・トレーニング」の日を計画しましょう。

    • エピック1-1-1 - スイム1時間、ライド1時間、ラン1時間。またはパドルボード1時間、ライド1時間、ウォーキング1時間

    • 「COVIDマン」 - 簡単に達成できる作業、後回しにしがちな短いものをリストにまとめます。続いて、1時間ごとに1マイル走り、それを6時間続けます。1マイル走り終えた後の残り時間は、リストにある作業に取り組みます。時間がきたらまた1マイル走り、終わったらリストの作業に戻るというサイクルを6時間続けます。6時間後には6マイルを走り終え、リストの作業だけを集中してやるよりも多くを成し遂げているはずです。エクササイズを生活の中に組み込むことで、勢いを味方につけてエクササイズからエネルギーを蓄え、それを作業に活かすことができます。 

  • シミュレーション・レースを計画

    • 栄養補給からレース前のイメージトレーニング、テーパリング、イベントのステージングまでレースのルーティンを練習します。友だち数人で集まり、お祝いができたら理想的です。ペース配分と栄養補給について学びます。これは、新しく得た知識をトレーニングに活かしたいというモチベーションになります。私は、自分がコーチングしたアスリートのためにシミュレーションの日を何度か準備しました。実際のレースの距離を指示することはありませんが、時間を少し短く設定して集中してハードに取り組み、それぞれの限界に挑めるようにします。私がアイアンマン70.3のアスリート向けに好きな構成は、60kmのタフなライドの後に15 kmのラン(90 kmのライドと21 kmのランではなく)です。数人のアスリートに、ラン10 km - バイク60 km - ラン10 kmという組み合わせに挑戦してもらったことがあります。これはランの筋力を高めるためでした。他の人たちの場合には、バイク20 km - ラン5 kmでスピードを上げるトレーニングをしました。これらは努力と消耗するエネルギー、ランのペースと栄養補給を調整するまたとない機会です。そして、さらに重要なのが達成感と 充足感をどちらも味わえることです。

  • アドベンチャーの日を計画 

    • 自分がレースに出ていた頃を思い出します。グラベルの路面を見ると、そこを走るたくなりました。今こそ冒険するときです。CerveloのC5に乗って、「あまり使われていない道」で遠回りしたいです。走りながら砂利道にそれ、ちょっと冒険することがあります。私が大好きな冒険は、水着とゴーグルをしたまま舗装した道と砂利道を走り、カレドンの採石場に行くコースです。着いたら水に飛び込んで泳ぎ、またバイクで戻ってきます。ペースや心拍数、消耗したエネルギーとは関係なく、達成感で胸がいっぱいになります。それは、バイクとスイムという大好きな2つのことを、車を使わずに効率よく成し遂げたからにほかなりません。これこそ成功です。

  • 他の人と一緒にスポーツを楽しむ

    • あなたは周りの人たちにとって模範となる人です。トレーニングに他の人たちが参加できるよう時間をやりくりしましょう。新しいトレーニングのパートナーでもいいし、冒険やレースのシミュレーションのサポート係でもかまいません。お子さんも参加させましょう。筋トレ・サーキットをお子さんと一緒にやってみるのも一考です。ジャンピング・ジャックやスキップならお子さんでもできます。あなたが走るときに、お子さんに子供用バイクで併走してもらうか、応援に回ってもらうのもいいでしょう。スポーツを一緒にするのは、最も充足感を味わえる瞬間です。  

  • 長所のリストを作る

    • どこかの段階で苦労することを受け入れましょう。きつい日も必ずやってきます。そのときには自分の強みをリストにまとめることをお勧めします。たとえば次のように、自分が得意だと思うことを書き留めます。

      • 私は健康である。

      • 自分の家族は健康だ。 

      • 自分は聞き上手。

      • 問題を解決するのが上手。

      • エクササイズを投げ出したことは一度もない。

      • 自分の回りにはいいチームがいる。

      • 自分にはいいコーチがいる。 

    • 強みをひとつ残らずリストに入れましょう。自分以外は見ることのない履歴書みたいなものです。思っていたよりずっと恵まれていると気づくでしょう。そして、このリストを振り返り、どんな苦境にも立ち向かって克服できることを思い出すのです。

    • きつい日も、その日にあった「素晴らしいこと」、感謝する3つのことを思い浮かべながら締めくくりましょう。素晴らしいことというのは、「いつもより美味しい夕食が作れた。犬の散歩を3回した。気分が乗らなかったけれどバイクを45分やった」というような些細なものでいいのです。 

    • ここ数ヵ月で私が素晴らしいと感じたことを以下にご紹介します。

      • トロントに50 km以上のウォーキング/サイクリング用道路が作られ、ソーシャルディスタンスを保って運動するのに役立っている。ぜひこのままにしてほしい! 

      • 交通量が少ない 

      • 家で料理をする人が増えた = 体に悪い食べ物が減る = 心臓疾患が少なくなる

      • 仕事と個人的な目標について再考 - 自分にとって何が重要なのか

      • 友だちや家族との絆に感謝 

      • 気づいたこと。卒業というのはビッグイベントである、先生たちはハードに働いている、医療従事者は給料に見合う仕事をしている、食料品店で働く人たちや他の見過ごしがちな職業の人たちもハーバードの卒業生と同じくらい価値がある、スポーツを通して人々はひとつになれる(ファンとアスリート、様々な国も)。 

      • 今こそ自分を振り返るとき、新しい習慣や変化を学んで成長するチャンス。


この出来事から何か大切なものをつかみましょう。レースを完走するような差し迫った目標はありませんが、立ち直り、適応力、問題解決の力が試されるときです。この3つの組み合わせがあれば、レースが再開されたときに自己ベストが出せるでしょう。   

Mickey Mantleの興味深い言葉を引用します。「18年のキャリアで、私は10,000回近くバッターボックスに立ちました。そのうち三振が約1,700回、フォアボールで塁に出たのが1,800回くらい。野球選手の平均は1シーズンあたり500回なので、私は7年間ボールを打たなかったことになります」。

私たちはまたゲームに戻る日がきっときます。トレーニングを続けて力を伸ばし、学んで打席に立ちましょう。成長に限界はありません!


Lisa Bentley

1999年からCerveloがスポンサーとなっているアスリート 

好きなバイクはCerveloのP5ディスク

コーチ、スピーカー、著書に 『An Unlikely Champion』

www.lisabentley.com

@lisa_bentley123

@lisabentley