執筆:Alex Croucher

2011年10月、私は長距離トライアスロンに参加することを決めました。精神的にも、肉体的にもやりがいのあるレースに挑戦したかったのです。どのレースにするか探していたところ、ノースマンの目玉ともいえる、アスリートたちがフェリーから海へ飛び降りる写真を目にしました。そしてそのレースについてさらに調べた私はこれだと思いました。
 
超長距離トライアスロンに挑戦するなら ノースマンは外せないでしょう。 ノースマンは単なるレースではありません。 エントリーが承認されたら、8月最初の週末5amのスタートを待たずしてすでにレースは始まるのです。10か月間、私はこのレースイベントのために精神的にも肉体的にもトレーニングを積み重ね、それが私の人生となりました。週10~14時間の身体トレーニングに加え、障壁を乗り越えるレース映像を2010本観てレース展開を日々思い描きました。自分のトレーニングにコミットすれば、あなたもきっとこのレースイベントを楽しめるはずです。
 
レースはまず、暗く冷たいノルウェーのフィヨルドの真ん中へ移動するフェリーの旅から始まります。緊張感と言うまでもない興奮が生み出す素晴らしい雰囲気。そしていよいよ時間がやってきました。車両デッキから冷たいフィヨルドへと飛び込むアスリートらにより静寂が破られます。そしてデッキの先端に近づくにつれ高まる心拍数。さあ、自分の番です。  
 
空中に踏み出し、冷たい海へと身体が沈みます。水面に浮かぶと目に映るのはフィヨルドとそれを囲む山々。なかなか味わえない光景です。これは、レース全体の中でも個人的に大好きな部分です(このレースに参加することがあれば、レースが始まる前の水中での時間をぜひ満喫してください)。
 
岸に向かって泳ぐうちにゾーンに入ったような状態になり、耳に痛いほどの静けさを感じるように。息継ぎするたび、夜明けとともに顕わになる風景に見とれてレース中だということを忘れてしまいます。 バイクレースでは、10kmの穏やかなウォームアップの後、ハルダンゲル高原へのヒルクライムが続きます。このコースでは想像を超える絶景が楽しめます。

このレースの一番いいところは、サポートクルーである友人や家族とその体験を分かち合えること(ちなみに友人/家族はトレーニングなしでこれらすべての風景を楽しめます。 笑)。サポートクルーがいれば、バイクに20ワットが追加されたようなもの。

イーミングフィエルの頂上に達したら、 30kmのダウンヒルでそれまでの努力の成果を味わいつつT2へ。楽しみはここから始まります!T2の終りが近づくまでに、忘れていた走る感覚を取り戻しましょう。湖を囲む安定したコースを25km走り、目指すはガウスタトッペン。晴れた日にはゴールである山の頂上を見ることができます。
 
ゾンビヒルをジグザグに進みながら思うのは、時間制限内にゴールした人だけに与えられる黒いTシャツを手にするだけの時間が残っているかということ。T2到着後、左に進んで下位のコースを終了し白いTシャツをもらうか、山を登るコースに進むかに分かれます。それまでのトレーニングが報われて山へのコースを終えた場合、その究極の証となる賞品が黒いTシャツなのです。
 
私は幸運にも山を登り、黒いTシャツを手に入れることができました。頂上までの最後5kmのスクランブリングは素晴らしかったと言わざるを得ません。最後まで天候に恵まれ、頂上からの絶景を眺めることができました。私にとって、レースはフィニッシュタイムではなく、黒いTシャツを手に入れること、そして達成できた体験を楽しむこと。しかしあれから10年近くが経ち、32歳よりも速いタイムを42歳で出せるかを知りたくてウズウズしている自分がいます。何かにチャレンジし、素晴らしい人生体験を求めているなら、今すぐこのレースに登録すべきです。とはいえ、参加人数が限られていることだしタイムも更新したいので、あと1年くれませんか?
Alex Croucher ノースマン