「アワーレコード」に迫る

2/9/2016
私のP5Xに皺のような物があるのはなぜですか?

コーチが語るBridie O'Donnellの記録的なトラックパフォーマンスの裏側

 

ペース戦略

Lane氏が「最も純粋なタイムトライアルイベントのひとつ」と説明する「アワーレコード」を勝ち取るためには、着実なページングが必要不可欠です。彼は次のように述べています。「最大の運動効率をいかに保ち続けるか、その一点に尽きます。この挑戦を成功させるには、アウトプット量の幅、そしてケイデンスの幅を最小限に抑えることが求められます。トラック上での体力分析に加え、過去のタイムトライアルおよびロードレースでのパフォーマンスデータから、Bridieが60分間維持できるアウトプットを算出しました。」Lane氏は「トラック上では全てがラップタイムに関わります。」と語ります。「Bridieが維持できるアウトプットを把握し、さらに気温や気圧、湿度といったその日の条件を把握することで、彼女のラップタイムの"スケジュール"は19.26秒に設定されました。」

ギアの選択

Bridieは55 x 14のギア(102.9)ギアインチ)を使用しました。この組み合わせもまた、膨大な収集データをもとに決定されたものです。「分析段階の初期には、本番で使用したものより大きいギアを試したこともありました。」Lane氏は振り返ります。「大きいギアでは、過去のパフォーマンスを上回る場面も見られたものの、ケイデンスおよびアウトプットの数値に大きな揺れ幅があり、一貫性が不足していました。より大きなギアは短期間の走行には効果的なオプションと言えそうですが、アワーレコードの長時間走行を耐え抜くにはコントロールが難しくなることが分かりました。」

スケジュール通り

最初の6分間、Bridieの平均ラップタイムは19.15秒で、スケジュールよりもかなり速いペースでした。しかし、Lane氏は心配していなかったと言います。「次の18分はコントロールに集中し、一定のエネルギー量を維持しました。6分間連続で平均ラップタイムを19.23秒、19.19秒、そして19.23秒とスケジュール通りに収め、24分に到達しました。」後半の平均ラップタイムは19.10~19.15秒に落ち込んだかに見えましたが、42~48秒の間に、19.10秒というその日最速のラップタイムを記録。全体で見ると、Bridieの平均ラップタイムは19.16秒でした。

パワーアウトプットとケイデンス

Bridieのスタート時のパワーアウトプットは530ワットであり、一周目の平均パワーは387ワットでした。一周目終盤までにケイデンスは99rpmに達し、彼女はその時点で到達したスピード領域を、残りの走行でも維持し続けました(下のグラフを参照)。

グラフ1

2:30地点までにBridieは「定常状態走行」を確立したとLane氏は語ります。「一貫したエネルギーのかけ方は見事でした(下のパワーおよびケイデンスの 3D分析を参照)。」

グラフ2

図2:パワー/タイム3D配置図に見る本日の計画の達度合い。前後に広がるZ軸は6分ごとの時間軸を示す。パワー領域はX軸、タイムの割合はY軸に示されている。

グラフ3

出だしの6分間における広範囲なパワーアウトプットの配置は、スタンディングスタートおよび典型的なアドレナリンの放出によってペーシングスケジュールを上回るパワーアウトプットがあったためだとLane氏は説明しています。また、時間の経過とともにパワーアウトプットの配置が広がっているのは、疲労が蓄積し始めたこと、並びに、終盤に向かって平均運動量がわずかに増加したことが原因としています。

Bridieのアワーレコード挑戦における目標ケイデンスは96rpmでしたが、実際のケイデンスもまた目標通りでした。彼女は走行の大半において95~97rpmを維持し、Lane氏は「この事実が、一貫性を守る彼女の実力、そしてギアの選択およびペーシング戦略の有効性を物語っています。」と述べています。