エアロダイナミクス

エアロダイナミクスは、Cervéloが中核として取り組んでいる要素です。Cervéloは、サイクリスト達をより速く走らせることを目標に設立されましたが、エアロダイナミクスを活用することはその目標達成への最適な方法です。Cervéloでは、エアロダイナミクスを、バイクとサイクリスト、全コンポーネントを合わせたシステムとして捉えています。バイクはそれ単独では走りません。だからこそ当社では、サイクリストなしでバイクの設計や試験を行うことはしません。Cervéloのバイクは風洞で高速を記録するだけでなく、人が乗って道を走る時も速いのです。

空気抵抗はバイクとライダーに影響を与える大きな要素であり、ライダーが受ける総抵抗のうち、最大で実に90%にあたります。我々が立ち向かわねばならない抵抗には、いくつかの種類があります。まずは圧力抵抗。ボディ(この場合は自転車とライダー)が空気を通り抜ける時、空気分子を押しのけて進む形になります。それらの分子がボディに押し付けられることで圧力が生じるのです。この圧力のうち、ボディの後方に向かって生じるものを圧力抵抗と呼びます。

次に摩擦抵抗。あらゆる流体には粘度(あるいは「厚み」)があります。ボディに当たる空気分子は、そのまま体表に張り付きます。ボディが空気中を進むにつれ、新たな空気分子は張り付いた分子に沿って層状にボディのまわりに浮き、平行に流れます。この層を層流境界層といいます。空気の粘性がせん断力、あるいは摩擦抵抗を生むというわけです。

ほぼどんなボディでも、ある時点で層流は崩れ、空気分子はスムーズに流れずかき乱されて交じり合います。その転移点は乱流境界層がはじまる部分になります。この流れの動きは、レイノルズ数というパラメーターで表されます。レイノルズ数は、流れのいくつかの物理的特性によって定義されるものです。層流の形は下記の図のように、レイノルズ数10,000あたりまで維持され、10,000を超えると「乱流」になります。

グラフ

動く空気の塊には慣性があり、そのため表面の湾曲がきついほどすみやかに流れることができません。その条件下では空気はボディを離れて体表を引っ張る低圧領域を生み出し、抵抗を高める原因となります。もし、ボディの後尾が両側の流れをうまく誘導してひとつに戻すことができなければ、循環空気によって低圧が生じる「流れの停滞」部が発生します。この低圧もまた表面を引っ張ることとなり、抵抗をさらに強めてしまいます。

空気抵抗を最小限にするために、当社のバイクとコンポーネントのデザインで調整できるパラメータが2つあります。ひとつは抵抗係数で、これはボディのフォルムと空気がその周囲をどのように流れるかによって決まる要素です。形が違えば、抵抗への影響も異なります。たとえば丸いフォルムでは、当社が開発したTrueAeroTMチューブ形状に比べて24倍近い抵抗が発生します。空気の流れに対するチューブ形状の向きも抵抗を左右します。シートポストやダウンチューブは角度をつけて取り付けられていますが、そのために楕円に近い形状に空気が当たり、抵抗係数にも変わってきます。

デザインで変えられるもうひとつのパラメーターは前面面積です。空気に当たる面積が広いほど抵抗も大きくなることは、感覚的に分かると思います。当社のエンジニアはその点をふまえ、例えばCervéloのタイムトライアルバイク、トライアスロンバイク、エアロロードバイクは、ライダーとバイク(ふたつでひとつのシステムとして)の前面面積を最小にし、空気力学的効果を最大まで高めるデザインになっています。

抵抗係数 (CD) と前面面積 (A) は、次の方程式のように、ボディの総抵抗に関わってきます:

グラフ

 

この方程式に用いられる他のパラメーターは、ボディが空気を通り抜ける速度 (V) と、空気の密度 (ρ (Rho)) です。自転車速度記録を目指す試みの多くが高高度で行われるのもそのためで、空気密度が低いほど抵抗も弱くなります。

これらの空気力はバイクとライダーにかかる抵抗の最大の要因で、総抵抗の最大90%を占めます。つまり、CDとAをできるだけ少なくして抵抗を最少化するバイクとコンポーネントのデザインは、ライダーをより速くする効率的な方法というわけです。しかし、体の位置やコンポーネントのデザイン、その他の方法でライダーに対する抵抗を最少化することも重要で、総合的に最も速い結果を得るには、システムとしてのアプローチが必要なのです。バイクはそれ単独では走りません。だからこそ当社では、サイクリストなしでバイクの設計や試験を行うことはしません。

空気力学に対する当社のシステム的アプローチがどのように最速のバイクづくりを支えているか、詳しくは当社の空気力学技術レポートをご覧ください。